【2026年8月】外画・動画(アニメ)に関するアンケート集計結果

組合員の皆さま、2026年8月に実施の「外画・動画(アニメ)に関するアンケート」へご協力いただき、誠にありがとうございました。計410件の貴重なご回答をいただきました。集計結果をご報告いたします。

 

まず初めに(アンケート結果の総合的な概要)

【アンケート実施概要】

 題 名:  外画・動画(アニメ)に関するアンケート 
 期 間:  2026年8月10日(月)〜8月31日(月)
 対象者:  日本俳優連合 組合員(2,594名)
 回答数:  410件
 回答方法:  インターネット調査

今回のアンケート結果から、インボイス制度の導入などを背景に、「変わらない」と答えた人が最多の回答であったものの、4割以上の方は「手取りが減った」と実収入の減少を感じている実態が浮き彫りになりました。

こうした経済的な圧迫を受け、皆さまからは「声の仕事に対する正当な経済的補償」を求める強い声が上がっています。具体的には以下の3点に要望が集中しました。

  1. ベースアップの要求: 現状「15,000円」の最低ランクに対し、20,000円以上の水準を希望する方が最多の回答となりました。
  2. リハーサルに対する報酬: セキュリティ都合による「スタジオでのリハーサル」に対し、95%以上の方が「交通費や一定の報酬が支払われるべき」と回答しました。
  3. キープに対する補償: 直前のバラシ(キャンセル)に対しても、「キャンセル料」を求める声が半数近くを占めました。

総じて、業界の慣習(無報酬での稼働やスケジュール拘束)を見直してほしいという声と、適正な対価を求める現場の強い危機感が示された結果となりました。

日俳連としてはこの結果を重く受け止め、今後の制作側との交渉や環境改善のための強力なデータとして最大限に活用してまいります。

 

各設問から見えてくる具体的なデータと傾向

以下は、各設問の具体的な回答傾向です。

回答者の内訳について

外画では「ランク保持者」が70.0%、「ステップランク」が21.2%。アニメ(動画)においては「ランク保持者」が58.5%、「新人」が27.8%となり、若手の方からも多くのご意見をいただくことができました。

 

1.インボイス制度による手取りへの影響 

「変わらない(49.5%)」が最多ですが、「減った」と回答された方が42.4%に上りました。制度導入によるマイナスの影響が広く及んでいることが伺えます。

インボイス制度は、2026年10月に経過措置が見直されるなど、今後とも組合員の皆さまへ大きな影響が出ることは間違いありません。インボイス制度に特化したアンケートも実施いたしますので、どうぞご協力ください。

 

2.今後の最低ランク希望額 

「現状維持(15,000円)」を望む声は18.3%にとどまり、最も多かったのは「20,000円以上(36.1%)」という結果で、全体として強いベースアップの必要性が示されました。

特にアニメ分野は、政府の戦略分野に位置付けられ、海外展開の好調などにより市場規模が年々拡大しています。日俳連としては、拡大する経済圏に相応しい、適正な報酬レベルを見出していきたいと考えております。

 

3.バラシ(キャンセル)連絡の許容日数 

日数での線引きよりも、「キャンセル料があればバラシは問題ない」という回答が45.1%と圧倒的多数を占めました。スケジュールを拘束されることに対する経済的補償が強く求められています。

「キープ」の慣行については、公正取引委員会も強い懸念を示している背景があります。日俳連としても、今後はこうした業界の慣習を適正化していくための方策を検討してまいります。

 

4.リハーサル日の報酬について 

「本番と同額でなくても、一定の報酬・手当てが支払われるべき(64.4%)」が最多となりました。「交通費の実費程度(22.9%)」「本番と同額(8.5%)」と合わせると、ほぼ全員が何らかの補償を求めています。

しかし、単にリハーサル報酬の新設を求めてしまうと、結果として本来の報酬が据え置きにされてしまう懸念もあります。

集計結果を確認した外画・動画委員会のメンバーからは「リハーサルにかかる負担も含めた上での全体のベースアップとして交渉していくほうがいいのではないか」との意見もあり、日俳連としては慎重に検討を進めてまいります。

 

5.アニメにおける一括処理C方式の望ましい料率 

料率アップを求める声が集まる一方で、「よく分からないため回答できない」という方が27.1%と非常に多い結果となりました。権利処理に関する複雑な制度について、今後さらなる周知や勉強の機会を設けていく必要があります。

さらに現在、ビデオグラムの割合が大きく低下し、放送も伸び悩む一方で、配信が完全に主流の時代となっています。こうしたメディア環境の劇的な変化を踏まえれば、単なる料率の議論にとどまらず、現在のビジネスモデルに合わせた「一括処理C方式」の運用や見直しについても、あわせて検討していく時期に来ていると認識しております。

 

【補足】自由記述から見えてきたリアルな声と課題

今回のアンケートでは、自由記述として多くの切実なご意見が寄せられました。全回答はPDFにてご確認いただけます。

■自由記述の全回答はこちら:日俳連2026年8月アンケート:その他の回答(PDF:269KB)

ここでは、全体的な傾向を補足する重要な意見や、より踏み込んだ課題提起について、抜粋・要約してお伝えいたします。

 

最低ランクの引き上げと、ランク制度の実効性について

ベースアップを求める声の背景として、「物価高騰に見合っていない」と22,500円や3万円以上を求める声が多く見られました。さらに、単なる金額の要望にとどまらず、制度そのものが抱える構造的な問題への指摘が目立ちました。

  • 制度の形骸化と非組合員との競争: 「ランカーなのにジュニア料金で使われている」「日俳連に登録していないフリー声優が規定より安い条件で仕事を受けており、最低報酬の実効性が担保されていない」といった、ルールを守る側が不利になる現状への強い懸念が示されています。
  • 若手・中堅の仕事減少への懸念: 「若手がランクになった途端仕事がなくなる」「報酬額を上げることでオーディションを受けられない仕事が増えるのは避けたい」といった、ギャラ引き上げと仕事獲得のジレンマに悩む声も寄せられました。
  • 旧制度の悪用: 「CS料金という制度を悪用し、配信作品などで安く使われることがあるため、一刻も早く撤廃すべき」との厳しい指摘もありました。

 

セキュリティ都合によるスタジオでのリハーサル

無報酬でのリハーサルによる負担について、交通費や手当の要望に加え、スケジュール面での機会損失への不満が浮き彫りになっています。

  • スケジュールの圧迫と機会損失: 「リハ日が組み込まれることで、別件の問い合わせが第2キープ扱いになり、結果的に仕事がバラシになることが多い」という、実収入への直接的な悪影響が指摘されています。
  • 拘束への対価: 「交通費+半額」「ギャランティに30%上乗せ」など具体的な補償案が挙げられたほか、そもそも「自宅で時間に縛られずに練習したい」という率直な本音も寄せられました。

 

一括処理C方式と、新しい時代の権利処理

料率の引き上げだけでなく、現在の多様化したメディア環境に合わせた「制度の根本的な見直し」を求める意見が多数を占めました。

  • 媒体ごとの分割と継続的な還元: 「放送、ビデオグラム、配信は一括にせず分けて契約すべき」「配信が続いている間は、年単位で継続的に報酬を支払う仕組みが良い」といった、一括処理という概念自体の見直しを求める声がありました。
  • 業界成長の還元: 「劇場版などで興行収入が増えた場合は、別途出演料を増額するなどの契約を検討すべき」との意見や、「アニメが世界的な人気にも関わらずギャラが変わらないのはあり得ない」といった、業界の成長が演者に還元されていないことへの強い不満が示されています。

最後に

今回のアンケートでは、数字のデータだけでなく、自由記述欄からも現場の皆さまの率直な思いや、歯がゆい現状がひしひしと伝わってまいりました。お忙しい中、貴重な声を届けていただき、本当にありがとうございました。

物価の高騰やインボイス制度の導入、そして複雑化する権利処理など、実演家を取り巻く環境は厳しさを増しています。その中で「実演の仕事の価値」を正しく守り、次世代へ繋いでいくためには、古い慣習を見直し、時代に合わせた適正なルールへとアップデートしていくことが不可欠です。

日俳連としては、今回お寄せいただいた皆様の声をしっかりと受け止め、制作側との協議や環境の改善に向けた具体的な一歩を踏み出していく所存です。一朝一夕にすべてを変えることは難しいですが、皆さまが少しでも安心してものづくりに打ち込める未来へ向けて、共に歩みを進めていければと思っております。

引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。