
2026年6月3日
日本国内の実演家の皆さまへ
日本俳優連合は、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(以下 CODA)が2026年5月27日に公表した「生成AIサービスによる著作権侵害の現状と権利保護に関する声明」を支持します。
CODAの声明は、近年の国内外の生成AIサービスにおいて、日本の著名な著作物そのもの、またはそれに酷似した画像・映像が出力される事例が確認されていること、さらに、ユーザーが特定の著作物を意図して指定していない場合であっても、既存作品に酷似した生成物が出力される危険性があることを指摘しています。これは、ユーザー自身が気づかないまま著作権侵害に関与してしまう可能性を含む重大な問題です。
生成AIは、本来、人間の創作を支援し、社会に新たな価値をもたらす技術であるべきです。しかし、既存の著作物、キャラクター、映像表現、音声、実演、肖像、名称、その他の創作的要素が、権利者や実演家の許諾なく学習・生成・出力される場合、それは創作の基盤を損ない、文化産業全体の持続可能性を危うくするものです。
特に、俳優・声優・実演家の声や演技は、単なる素材ではありません。それは、長年の訓練、人格的表現、芸術的解釈、職業的努力によって成立する創作的実演です。生成AIサービスにおいて、実演家の声、演技、話し方、キャラクター表現、氏名・芸名、肖像等が無断で模倣・再現・利用されることは、実演家の尊厳、経済的利益、職業上の機会を侵害するおそれがあります。
日本俳優連合は、生成AIの発展そのものに反対するものではありません。むしろ、技術革新が人間の創作を尊重し、実演家・権利者・事業者・利用者の信頼の上に発展することを求めます。そのためには、少なくとも以下の原則が不可欠であると考えています。
- 1.) 事前の許諾 : 著作物、実演、声、肖像、氏名等をAIの学習・生成・利用に用いる場合には、事前に明確な同意を得ること。
- 2.) 公正な対価 : 実演家や権利者の創作・実演がAIサービスの価値創出に利用される場合には、適切かつ継続的な報酬が支払われること。
- 3.) 管理と透明性 : どのデータが、どの目的で、どのように学習・生成・出力に利用されているのかについて、権利者・実演家が確認し、管理できる仕組みを整備すること。
- 4.) 侵害防止措置 : 既存の著作物や実演に酷似する生成物が出力されないよう、AIサービス提供者は調査、フィルタリング、申立対応、削除対応等の実効的な仕組みを整えること。
- 5.) 誠実な権利者対応 : 権利者、実演家、所属事務所、関係団体からの相談・申立・削除要請に対して、迅速かつ誠実に対応すること。
日本俳優連合は、CODAの声明が示す問題意識を共有し、生成AIサービスが著作権者、実演家、クリエイターの権利を尊重する形で運用されることを強く求めます。
私たちは、創作を奪うAIではなく、創作を支えるAIを求めます。そして、実演家の声、演技、人格的表現、職業上の尊厳を守るため、国内外の関係団体、権利者、事業者、行政機関と連携し、教育・啓発、権利保護、制度整備に継続して取り組んでまいります。
日本俳優連合 事務局

