6時起床。
バルコニーから、すぐ目の前にアメリカ資本のシェラトンホテル、左手にヒルトンホテルが見える。気温は少し肌寒いくらい。ブラジルはちょうど冬から春に移る時だと言う。いい気候だ。これなら、3日前まで行われていたパラリンピック、そしてオリンピックの選手たちも、実力を十分に発揮できただろう。
日俳連ニュース用原稿の下書きに目を通す。8時、ホテルのレストランで朝食。バイキングだが、皆、美味しい。空港からホテルに向かう車中でみた貧民街とはまるで違う世界だ。ピアニストが、私たちが日本人と分かったのだろう、長淵剛の「乾杯」を演奏して歓迎してくれた。手を振ると会釈で応えてくれた。
グランエスタン・ホテルから歩いて3分ほどのヒルトンへ。会議場に入り、コンセントのある席を取り、スクリーンに映し出されたパスワードでヒルトンのWiFiに接続。
10:00 FIA EXECUTIVE COMMITTEE(理事会)
同時通訳は、英語、スペイン語、フランス語、ロシア語、ポルトガル語、ドイツ語の6か国語。レシーバーのチャンネルを英語②に合わす。
本日は理事会なので出席国は15国であるが、今回は大会なので、52か国、150人ほどとなる。日本でもし理事会を開催するとなると、2015年、アイルランド ダブリンでの理事会の参加人数に近くなるだろう。ダブリンの出席名簿によるとオーストラリア(4人)ブラジル(5人)、カナダ(3団体12人)、デンマーク(6人)、フランス(3人)、アイルランド(14人)、モロッコ(1人)、ロシア(2人)、スペイン(2人)、スウェーデン(2人)、スイス(3人)、イギリス(3人)、アメリカ(11人)、ウルグアイ(1人)、ベルギー(4人)計76人。(日俳連は予算の関係で欠席した。)
●会長フェーン(カナダ)の司会で開始。
参加者全員それぞれの自己紹介となった。オット!何のコメントも用意してなかったので焦る。しかし、こんなことで中山さんの英語力に頼るわけには行かない。無難なところですます。
ホスト国ブラジルの団体,SATED会長の紹介、本日のイブニング・ウエルカム・レセプションパーティが行われるBuffet Villa Bisutti Berrini WTCへの出発は、ヒルトンロビー19:30集合、徒歩すぐらしい。
●財務担当クリスティン(UK)より会計報告。
人数割り会費に1%の付加を容認してもらった。380ユーロほどをEUから補助してもらった。ささやかに収入は増加、剰余金は大会基金に。ブラジル大会の同時通訳費に300ユーロ追加支出。
10:40ドミニク事務局長。総括
10:50
●ビヨーン(デンマーク)が、選挙管理委員会報告。
選管人は6人。投票権の公平な在り方等、FIA憲章に則り説明。会費支払い済みユニオンが投票権を持つが、2年連続での会員減少は投票権に影響を及ぼす。今回652票が確定。(日本俳優連合には、14票が与えられた。)
(★以後、この記録は、私が聞き取れてわかることと、中山さんのPCを覗いて断片的に記していく。正確なところは中山さんの翻訳を待つことにします。)
2回のノミネーションの結果、最終推薦候補は以下の通り。
会長フェーン・ダウニー27票(カナダACTRA)は、決定的だろうが、
副会長6人のうち4人が退任の意志を示しているという。
デニス(仏)21・カツジ(デンマーク)25・クリスティン(UK)27・リジア(ブラジル)17・ホワイト(USA)20・ウラジミール(ロシア)16
理事国
SWEDEN 37・AUSTRALIA 36・JAPAN 36・MOROCCO 36・URGUAY 36・SWITZERLAND 35・TURKEY 32・CROATIA 21
会長・副会長7人で常任幹部会議(PRESIDIUM)を結成。8国の理事を混ぜた15人で理事会(EXECUTIVE COMMITTEE)を結成する。
本大会最終日9月25日、投票でこの結果が承認されることになる。
11:10 ドミニク
●メンバーシップに関する事項の検討
・CINTAAの新規加入に関すること
The Cine & Television Actors’ Associationは、印度ムンバイに本部を置くギルド。私の隣席にいるたくましい男がその代表。
・SIADの加入に関すること
The Sindacato Indipendente Attori Doppiatori イタリアの声優組合。組合員は43名。
・Suspensions(資格停止)
ナイジェリアNANTAPは1990年設立の団体。年会費の最終納付が2013年になっている。資格停止を提案する。
・Expulsions(除籍)
イスラエルIUPA
50%メンバー退会。2012年のトロント以来連絡がない、2015年ダブリンでSusupension資格停止。今回大会で除籍とすることを提案する。
セルビアSINGLUS。小団体に加え50%退会。2016年、FIM(国際音楽家連盟)の大会に出席したフェーン会長が、セルビアのミュージシャンに尋ねたところ、同団体の存在が危ういと聞いている。出席は望めないので退会を提案する。
SIAC象牙海岸俳優組合 同、退会提案。
12:05 ドミニク
FIA EC ENDORSEMENT OF THE MANIFESTO ON THE STATUS OF THE ARTIST(国際音楽家連盟FIMと共同制作した、芸術家の地位に関する文書に関して。)
12:20 ウラジミール (コーカサス)
CEECA(旧ソビエトの国々による新しいグループ)の結成提案。
東欧、中央アジア地域のFIAメンバーグループ結成。会員でないグループにも入会を勧奨していく。
12:30 ダンカン(SAG-AFTRAアメリカ)
WIPO SCCR(世界知的所有権機関専門家会議)文書MAY9-13,2016について。
「動議5 デジタル・ユースからの実演家の収入」に基づいてFIA理事会で討議されるべき重要な事柄であることを強調。
12:55より14:15まで昼休憩
ヒルトン1FのレストランをSAG-AFTRAのジョン・マグワイヤーさんとデビット・ホワイトさんが予約して誘ってくれた。ジョンはこの大会でFIA副会長を引退し、代わりにデビットさんが次期副会長候補となっている。
SAGについてどう思っている?とマグアイアーさんが、最初に尋ねる。「1930年代にスター俳優たちが、当時の映画界の有様を憂い、組合結成を結成し、二次利用料等の規定を作ったSAGの歴史を読んだことがある。日本では、スターが率先してバイプレイヤーの事まで考えない。すばらしいことだと思った。」と答えた。
二人は、日本の事情にとても興味をもって聞いてくれた。日本の製作プロダクション、エージェントと俳優の関係。ソフトのネットでの利用条件等。いちいち、日本と共通した問題・事情があり、SAG-AFTRAも闘っているが、うまくいかないこともあるようだ。アメリカの巨大な組織も大変な努力を払って組織を維持し、俳優たちを守っているということが分かった。貴重な対話の時間だった。おまけにご馳走になってしまった。レアルの持ち合わせがないのでドルをレアルに両替する必要がある。
14:20 再開
14:40 ドミニク
北京条約批准の進行について 22日14:55からドミニクをモデレーターにパネルディス化ションを行う予定。以下22日〜25日の会議次第を説明。
25日は、10:00からCONGRESS(大会)、12:30からexecutive Committee
13:30終了予定という。予定通り終了すれば、余裕で空港に行ける。
15:10 motion1~3(ドミニク)
今大会で取り上げるMOTION(動議・緊急動議を一覧する。)
- 差別のない公平な雇用と多様性(提案:カナダ他8か国)
- 多様性の振興とFIA規約の関連性について(同)
- FIAグローバル・ダイバーシティの作業部会について(同)
- WIPO北京条約の批准について(カナダ)
- デジタル使用からの実演家の収入について(UK他6か国)
- 日本におけるオーディオビジュアルの実演家の二次使用料の権利について(日本)
- オーディオビジュアルセクターにおける知的所有権の保護期間について(仏)
- スロベニアにおける私的複製の徴収管理について(スロベニア)
- クロアチアにおける映画・テレビ番組における買取りについて(クロアチア)
- 健康と安全の保護について(スペイン)
- サーカス実演家について(ブラジル)
- FIAのコミュニケーション(広報)政策について(カナダ)
- 芸術文化への助成の重要性について(デンマーク他7か国)
- スペイン文化にとっての経済状況改善の必要性について(スペイン)
- レパートリーシアターとその助成について(カザフスタン他9か国)
- フリーランス、自営の実演家のための団体交渉について(アイルランド他2国)
- 不安定な日本の実演家の地位について(日本)
- 報酬の支払われる芸術的作品について(フランス)
- 組合非加盟の芸術家グループの増加について(フランス)
- 演劇への適切な公的投資に支えられる契約実践の振興について(オーストリア)
- ダンサーの職業的転換について(スペイン)
- 典型的でない仕事環境におけるプロフェッショナルの仕事の機会(スペイン)
- 国際共同製作における安全の強化と他の就業条件の調整(カナダ他8か国)
- 多国籍メディア企業について(カナダ・インド)
- インドにおける映画とテレビの健康と安全について(インド)
- 中央・南東ヨーロッパ諸国における(組合の)能力育成について(ポーランド他2か国)
- コーカサス、東ヨーロッパならびに中央アジア(CEECA)地域の組合のための能力育成について(カザフスタン他8か国)
緊急動議
- ジンバブエにおける実演家・活動家シルヴァノス・ムズヴォヴァについて
- 合衆国におけるビデオ・ゲームの実演家のための受けいれ可能な契約条件について
- オーストラリアにおけるイラン人俳優と避難民について
- トルコのイスタンブール公立劇場における俳優たちの停職と解雇について
- 難民アーティストの多様性、非差別、尊重について
- チリの芸術・エンターテイメントセクターにおける労働者
ウエルカム・レセプションへ
HILTONで両替所を見つける。パスポートが必要なのでレセプション・パーティの前に再び訪れることにした。グランエスタンに戻り、19時ヒルトンに向かうことを決め、小休止。MOTION原稿を読み、ベッドに入ると、また眠ってしまった。18時に目覚ましで起きてシャワーを浴び、日記をつける。レセプション・パーティのドレス・コードはカジュアル・フォーマルとある。持参したスーツに着替える。暗い夜道を歩くので貴重品を分散してしまう。腕時計も外す。スマホは、ウエルカム・レセプション会場の様子を後のため撮影する必要があるので持っていくことにする。
19:00
ヒルトンに向かい500ドルをレアルに両替。日本円は現地で変えられないので、ドルをもっていって適宜レアルに変えるのが得策と聞いていた。成田で15万円をドルに、5万円をリアルに変えてきたが、レアルがすぐに払底してしまったのだ。両替手数料は0.38%とある。これは経費に見てもらえるのかな?19:30の集合時間にはヒルトンのロビーは、カジュアル・フォーマルの服装を整えた人でごった返したが、出発の気配はない。
20時近くになってやっと人が動き出した。何のことはない会場はヒルトンの目の前。
20時頃からぼつぼつ始まったが歓談のみ、何の趣向もなし。軽食程度の料理。さまざまな言語が飛び交う。22時半に会場を出る。フェーンFIA会長たちがグランエスタンまで送ってくれた。親切な人たちだ。