2023年12月12日放送のNHK番組「クローズアップ現代」におきまして、日本俳優連合(日俳連・にっぱいれん)の主張が紹介されましたことをご報告いたします。
放送に先立つ12月4日、日俳連は「生成AIの光と影を見つめる」という趣旨の下、NHKの取材を受けました。
番組内では、生成AIに関する会議の様子が流され、日俳連の主張である「生成系AI技術の活用に関する提言」の「「声の肖像権」の設立を目指す」が紹介されました。スタジオでは、弁護士の先生による肖像権・パブリシティ権についての解説もありました。
この番組の内容は、NHKサイトの記事もしくはNHKオンデマンド(有料)で番組内容をご確認いただけます。(現在、NHKオンデマンドで公開されておりません)
◆クローズアップ現代:世界を席巻!生成AI 共存のために必要なことは?
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4856/
◆NHKオンデマンド(有料)
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2023132582SA000/index.html
なお、番組内でも問題提起されているとおり、声優や歌手など実演家の声を無断でAI利用している動画(いわゆるAIカバー)が多数存在しております。
現在、生成AI利用における著作物の扱いについては、著作権法第30条の4に規定があります。学習については「著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」のみに限られており、使用についても「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」は認められるものではありません。
現在、確認できる動画のほぼすべてが「著作物に表現された思想」や「感情」を「他人に享受させることを目的」とした動画であると考えられ、著作権法による学習の要件を満たしていないと考えられます。
また、動画サイトの仕組みにもよりますが、閲覧数によって個人に利益をもたらす可能性があること、個人に利益がなくとも動画サイトには利益をもたらす可能性があることを踏まえると、AIカバーの動画は「著作権者の利益を不当に害する」可能性が極めて高いものと考えられます。
著作権法の規定によらないまま、他人の声を無断で学習・利用することは権利侵害となるおそれがありますので、くれぐれもご配慮ください。
なお、NHKのサイトでは、放送に収まらなかったインタビュー記事(池水通洋代表理事・専務理事)も掲載されております。併せてお読みください。
最後に、取材当日の様子を少しだけご紹介いたします。生成AIについて実際に会議を行なっている現場を撮影(日俳連会議室)。
会議の参加者は、8名です(写真奥から左回りで柳沢三千代、佐々木優子、福宮あやの、甲斐田裕子、池水通洋、井口成人、上田燿司、寺依沙織)。参加者はカメラが回っていることを途中から気にすることがなくなり、白熱する会議となりました。
日俳連の代表理事・池水通洋が単独インタビューを受ける様子。
「声優の声というものは、その人が何年もかけて訓練してきたものだから、大事に考えて欲しい」と、熱を込めて訴えました。
NHKからは、4名の方々が取材にいらっしゃいました(プロデューサー、記者、カメラマン、録音技師)。
会議で交わされる内容について、プロデューサーと記者の方が幾度となく強くうなずく動作をされていたのが、強く印象に残っております。
取材の最後に記者の方からは「声優さんは声が力強く、話される内容に説得力がありますね」というご感想を頂きました。取材ありがとうございました。